Minna Kakeru

てんしんくん アルバム「パラシュート」インタビュー

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先日アルバム「パラシュート」を発表したてんしんくんが、てんしんくんも参加するバンド「ジョセフ・アルフ・ポルカ」のメンバーであり、愛知県立芸術大学の同級生でもあり、絵描きでもある西村友輝と木曽浩太を交えてアルバムについて話しました。※細かいので、アルバムを聴きながらお読みください!

 


 

て:てんしんくん に:西村友輝 き:木曽浩太

 


 

 

 

に:いつからこれを作る話になったの?

 

て:そう、あ、いきなり始まっちゃったけど、今日はバンドメンバーの木曽君と西村君を交えてアルバムについて話していきます。

 

き・に:よろしくお願いします。

 

て:いつからって話だけど、作り始めたのは、最初は「ナゴミハイツ」*1ってコンピレーションアルバム用に「けむくじゃらの犬」という曲を作ったのが最初で、その時島田君*2 にミックスをお願いして、それがいい感じにできたから「この感じでアルバムも作ろう」と島田君と話したのが確か2016年くらい。

 

に:コンピ用に作った曲から始まったんだ。

 

て:僕がミックスをざっくりやって、それを島田君に立体的に仕上げてもらう、という手法でやり始めたのがこのコンピが最初。

 

に:「けむくじゃらの犬」はバンドでもやってるもんね。

 

て:そうそう、バンドでやりだしたのがコンピの後で、そっから約3年半から4年間くらいずっとアルバム作ってた。

 

に:長いね。twitterで見てめちゃめちゃ長い時間かかってるのを知ってそうなんだって思った。このアルバムに関わらず普通に気になってる事なんだけど、曲が短いのってなんか理由があるの?

 

て:曲が短いのは単純に僕がせっかちなので、同じ演奏を何度も繰り返すのとかあんまりやりたくなくて、イントロもアウトロもできるだけ短くしたくて。

 

に:じゃあ全部違う人が演奏してくれるフォーマットだったら長い曲でもいいて事?

 

て:うん。一人でやると途中で我に帰っちゃう。

 

に:次に次にって行きたくなっちゃうって感じ?

 

て:そう。

 

に:ただただせっかちなんだ。

 

て:そう。

 

に:ハードコアパンクとかに対する意識とかはないの?

 

て:それは、Ramonesが好きだった時に作った「スターマン」とか曲単位では意識したりはあっても全体ではないかもしれない。

 

に:そうなんだね。

 

て:制作期間長すぎて、意識していた瞬間はあったかもしれないけどトータルではない。

 

に:ふーん。

 

に:アルバムを作る時に意識しちゃうものとかある?

 

て:それも制作期間長かったから最初と最後で変わってきてる気がするんだけど、ジョセフ組んだ当初にやりたかった音楽をもう一度目指したというのがあったり。

 

き:なるほど。

 

て:だからあんまり新しい事にはチャンレジしていないような、これまでの集大成という感じで。意識しているバンドは、それこそVampire WeekendとかSuper Furry Animalsとかmoonridersとか、ジョセフを始めた大学生の時によく話題に出ていた人達。それ以降いろんな音楽聴いてみたものの、やっぱりあの頃に聴いていた音楽が一番熱中してたしスタートラインになっているなと思う。

 

き:僕もさ、つい数日前めちゃくちゃ久しぶりにSuper Furry Animals聴いてて。5年ぶりくらい。なんだろうね、年とったのかな。

 

て:あーなんか、年齢は気にしてしまうかも。最近の音楽も聴いてるけど、いいなと思っても「これはできないな」という気持ちが強い。そうそう、島田君はめちゃくちゃ最近の音楽も聴いてい

 

て、僕だけだとどうしても懐古主義的な感じになっちゃうので、島田君がかなり「今っぽさ」を意識した音作りを心掛けてくれて。昔からそういう感覚がしっかりしている人なので、信頼してお願いができる。

 

き:「虫さん」の後の曲「よりみち」の終盤のリズムがさ、ちょっと今っぽいよね。ハイハットのツツツツって音とか

 

て:この曲はすごい苦労してて作ってる間にアレンジどんどん変わったりで、多少は意識しているかもしれないけど制作期間が長すぎてあんまり覚えてないかも…。

 

き:ドラムはてんしんが演奏したんだ?

て:そう、僕が打ち込みでドラムを演奏して、後で島田君が音色変更したりリズムもズレている所

 

をたまに直してくれていたりで、ほんと島田君と共同制作という感じで進めた。

 

に:へ〜

 

き:リズムがさ、凄いよね、凄いきわどいよね。

 

に:凄いきわどい曲あるよね、どれだっけ。

 

き:「スターマン」とか。

 

て:「スターマン」…これはギリギリアウトなんじゃないかと自分でも思いつつ、何度も直してその都度島田君にも聴いてもらい最終的に「大丈夫っすよ」って言ってもらったので大丈夫という事にしてる。

 

き:これは相当吟味した上であの感じなんだ。

 

て:そう、これ実はウクレレで弾いた伴奏がメトロノームにあわせてなくてリズムが一定じゃないという。バンドの一発録りだとこのやり方でうまくいくけど、一人で多重録音だととても大変で。

 

き:耳馴染みがないリズムの曲ってあるじゃん、こっちが慣れるしかないっていう、ディアンジェロとか。そういうのも慣れるとアリになっていく。そういう感じがする。

 

て:ディアンジェロ 笑 あ、でも伴奏をメトロノームなしでやった曲があるのも、あまりきっちり作るとつまらなくなるんじゃないかと思ったからで、島田君も柔軟性がある人なのでそのやり方でも違和感なく仕事してくれて。

 

に:加納さん*3のスタジオではどこまで録ったの?

 

て:ボーカルと伴奏だけ録らせてもらった。実は今回ボーカルを一番最初に録音して、後から他の音を宅録で足すというやり方をしていて。

 

き:もう意図的にやったって事でいいんじゃない?このリズムの革新性にまだ慣れてないんですねって感じで

 

て:笑

 

き:歌詞については?

 

て:歌詞について僕からちょっと話したい事があるんだけど、原さん*4がアルバム聴いた感想で「最初と最後が繋がってる」って言ってて、その時はピンときてなかったけど、その後福西君*5が1曲目「10億年」で「君の事忘れたりしないつもり」って言ってるのに最後の曲「こおりかほのお」で「君の事忘れてしまったけれど」で歌詞が繋がってるという事を指摘してくれて、原さんもこの事言ってたんだと思って、これはわかってやってたらコンセプチュアルでかっこいいんだけど、実は気づかずにやっていたという…。一貫して共通したテーマがあったりするので同じような歌詞が出がちではあります。

 

に:どういうテーマとかって聞いちゃってもいいの?

 

て:曲ごとにキャラクター設定があって、僕は普段考えている事とかをキャラクターに置き換える事で僕から考えを切り離したりぼやかしたりしようとしていて。

 

に:なるほどね。

 

き:「スターマン」ってやっぱりデヴィッド・ボウイとMOTHER*6?

 

て:そう、その両方。本当に直球で、デヴィッド・ボウイが亡くなった時に作った曲で、歌詞カードに描いた挿絵はMOTHERに出てくる「スターマン」を意識してるし、本当そのまんま。デヴィッド・ボウイの事を歌ったわけではないけど、スーパースターの気持ちを想像して作った曲。

 

き:デヴィッドボウイっぽいな、と思いつつMOTHERもあるなって思って、次の曲「とげ」とかすごいMOTHERっぽいじゃん。

 

て:それはそこまで明確に狙ったわけじゃないけど、MOTHERはやっぱり影響が大きいのであらゆる所には出てきてると思う。MOTHERだけじゃなくスーファミの馴染みあるいろんなゲームの影響はある。クロノトリガーとか聖剣伝説とか。

 

に:子供の時、サントラがなかったからずっと中世のフィールドにしてテレビで流してた。

 

て:僕もドラクエ4の海で流れる曲が好きで、よく船に乗ったままにした事あるよ。

 

に:ていうかパラシュートって曲がないけど、なんで「パラシュート」なの?

 

て:実はマスタリングも終わってジャケのイラストも完成した時点でタイトルが決まっていなくて、このイラストで「パラシュート」は安直かと最初は思ったけど、これまで乗り物のタイトルが多かったし、集大成という意味合いも込め「パラシュート」にした。

 

に:これ全部手描き?

 

て:これは、背景とキャラクターを別々に絵の具使って描いて、photoshopで合成したり描き足したり補正したりして、最後illustratorで配置したり。デジタルとアナログを混ぜたやり方で作った。

 

き:上下に色のついた線あるじゃん、これは?

 

て:これは、印刷の時に色の参考につけるカラーバーってあるんだけど、あれがかわいいと思っていて、全体青が多いので彩りとしていれた感じ。

 

き:この人(ジャケットのパラシュートの人)のサイズ感の感じがするよね、てんしんの歌。ちっちゃい人がなんか言ってる感じ。

 

て:そうかも。

 

に:リリースに関するライブとかってないの?

 

て:一応やろうと動いてはいて、決まったらまたお知らせしようと思うんだけど。

 

き:話変わるんだけどさ、昔てんしんのアパートでさ、「ズーランダー*7」観たよね。

 

て:木曽君と観たっけ?

 

き:DVD持ってなかった?

 

て:ビデオは持ってた。

 

き:デヴィッド・ボウイが出てくるじゃん、そのシーンを観せられたんだよね、てんしんに。

 

て:そうだっけ 笑

 

に:それを今思い出したんだ。

 

 

 


 

*1 中部地区のミュージシャンによる宅録音源を集めたコンピレーションアルバム。録音作品すら出していな方多数の貴重な作品。

 

*2 アルバムのミックスを担当した島田龍平君。ジョセフ・アルフ・ポルカのアルバムでもミックスを担当している為メンバー全員付き合いが長い。

 

*3 名古屋のバンド「THE PYRAMID」のドラマーで「ノア・ファイティング・スタジオ」というスタジオを運営。

 

*4 ジョセフ・アルフ・ポルカのドラム。現在はアクセサリーブランド「手と目」としても活動中。

 

*5 大阪のバンド「chuck sue」のメンバー、福西悟一君。

 

*6 任天堂の名作ゲーム「MOTHER」シリーズ。「スターマン」という名前のキャラクターが登場する。

 

*7 ベン・スティラー監督、主演のコメディー映画。数多くの著名人がカメオ出演している事で有名。

 

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